薬剤師は病院だったり薬局だったり働く環境によって仕事内容がけっこう違ってきますよね。
私は10年間、大学病院の薬剤師をしていましたが、大学病院で働いて良かった点、悪かった点を簡単にお話ししていきます。
大学病院で働いてみたい、転職してみたいという方はぜひ読んでみてくださいね。
【良い点①】薬剤師の人数が多く人間関係はあまり疲れない
私が働いていた大学病院は薬剤師が60名以上いました。多いですよね。
部署もたくさんあって、調剤室だったり、注射室、DI室、指導室など10以上の部署があります。
人数が多く、部署が分かれることから、この人少し苦手だな~という人がいても、同じ部署でなければ数週間ほぼ会うことがなかったりします。部署が同じでもどこかのタイミングで部署異動になることがあるので、ずーっと苦手な人と一緒というのはあまりない気がします。
逆に人間関係が薄くなる?と気になるかかもしれませんが、私としてはそんなことはなかったです。
一度同じ部署で仲良くなった人は、部署が変わっても遊んだり、仕事内容で相談したりできていますね。
一方で調剤薬局みたいな狭い空間、小さな病院では、ず~っと決まった人間と同じく空間にいるため、合わない人がいたり人間関係が一度悪化すると、なかなか大変と聞きます。
大きな施設のいいとこは、人数が多い分、人間関係も何とかなりやすい気がしています。
私的にはこれはいい点でした!
【良い点②】資格をとるにはいい環境!!
大学病院は〇〇認定薬剤師とか、〇〇専門薬剤師といった薬剤師になってからの資格をとりたい人には、良い環境になると考えています。理由を少しずつ書いていきます。
自分がとりたい資格をすでにもった薬剤師がいる可能性が高い
タイトルの通りです。大学病院には〇〇認定薬剤師とか〇〇専門薬剤師といった有資格者の薬剤師がたくさんいます(薬剤部のホームページに〇〇認定・専門資薬剤師を持っている人数を載せていることがあるので見てみましょう)。
職場に有資格者がいればすでに資格を持っている先輩から、資格取得に関するいろいろアドバイスを聞くことが可能です。
逆に職場に資格を持っている人がいない場合は、わからない部分は自分だけで時間をかけて解決したり、書いた症例も見てもらえないことになりますので、資格を取れないとは言わないですが少し難易度はあがるかもしれません。
大学病院は研修認定施設になっていることが多い
研修認定施設になっていることの何が良いのでしょうか。
全ての資格に必要ではないですが、一部の資格を取りたい場合には、専門機関での研修を受けることが必要な場合があります。
そして、大学病院は多くの資格を取るときの研修認定施設になっている可能性が高いです。
自分が取りたい資格の研修認定施設になっているかどうかは、大学病院の薬剤部ホームページや、資格を認定している学会(日本医療薬学会など)のホームページで見ることが可能なので見てみましょう。
例えば『がん専門薬剤師』をとりたい時には、研修認定を受けている施設で研修を受ける必要があります。
自分が働いている施設が、『がん専門薬剤師』の研修認定施設であれば、研修中の職場の薬剤師はみんな顔を知ってるし、何となく研修はやりやすそうな気がしますよね。
一方で、自分が働いている施設が研修認定施設でない場合は、
自分の職場で仕事の都合をつけて研修認定を受けている施設へ一定期間の研修を受けに行く必要があります。
資格のためとはいえ他の施設に研修に行くのはいろいろ気も使うし大変ですよね!
私は気を遣うし人見知りだからハードルが高いです!!
患者数が多く、他の病院では見れない症例も集まってくる
大学病院では、毎日数千人の患者が受診しています。私が働いていた病院は毎日3000人前後が受診していました。
多くの診療科があることから、ほぼすべての領域の薬を扱いますし、大学病院でしか見ることができないような貴重な症例に遭遇することもあります。
私は主にがん患者さんに関わっていましたが、普通の病院ではまず見ないであろう希少がんの患者さんにも関わることができました。
勉強しようと思えばいくらでも勉強することができますし、自分が資格を取りに行くうえで関わる必要である領域の患者さんにも関わりやすいです。
良い点③研究が好きな人にとっては良い環境!!
大学病院で働く職員には、研究を積極的に行って成果を学会発表、論文投稿といった形で世の中に出していくといった使命的なものがあります。
大学病院の薬剤師も日々業務もこなしながら合間で研究活動も行っています。
研究をバリバリ行って成果を学会で発表したり、論文投稿を行って世の中に情報を出していきたい!といった研究好きの人には良い環境です。研究指導してくれる先輩薬剤師も多いです。
逆に研究が嫌いな人は少し居づらいかも、、、、私は研究は大嫌いでした!
そんな私でも学会発表したり、論文投稿を一度は行いました。。。辛い日々でした、、
また、大学病院であれば大学院もあるかと思います(たぶんどこもあるのかな)。
社会人博士課程といって、働きながら大学院でも研究して薬学博士や医学博士の取得を目指すことも出来ます。
働きながら博士課程を取得するのは見ていて体力的にも、精神的にもめちゃくちゃ大変なので博士を持ってる人は尊敬しています(軽い気持ちで博士課程に行って後悔した人をたくさん見てきました)。
博士課程を取得した後は大学教員の道に進んでいかれる薬剤師さんもいたので、研究を通していろいろな選択肢が増えますね。
少し話がずれましたが、研究もしたい人にとっては大学病院は良い環境です。
悪い点①やりたいことが出来るかはわからない!
前半でも書きましたが、大学病院の薬剤部にはいろんな部署があります。
ただし、自分が働きたい部署で働けるかはわかりません。
私が働いていた大学病院の場合ですが、最初は調剤室に入ります。たぶんどこの病院も最初は調剤室でしょうが。
そして、働いて数か月~数年すると部署異動が突然告げられます。
部署異動先の希望はもちろん私には聞いてくれません(笑)。薬剤部の上層部のえら~い人たちが月に1回の会議で話し合って勝手に決まります(たぶん考えがあっての異動だと信じたいです)。
自分が行きたい部署とは関係なく部署が決まるということです。ここが大学病院の難しいとこです。
私はがん領域に全く興味はありませんでしたが、3年目くらいで、がん患者の薬剤指導・抗がん剤の調製・鑑査を行う部署にとばされてから、がん領域の道に入っていきました。そこからは5年以上はがんの部署で異動はありません。
その当時は正直なところ、がん領域に興味なかったですが、結果的には、素晴らしい指導薬剤師達にも恵まれ認定・専門の資格を取ることもできました。
が、がん領域はもう学べたのでそろそろ違う部署に行きたくても、部署異動が決まらない限りは異動はありません。
大学病院の薬剤部は部署毎の専門性が非常に高く、一つの部署の仕事を覚えるだけでもかなりの時間が必要になります。そのため、薬剤部員すべてに全部署を経験させるのは困難です。なかには5年以上部署異動がない人もいたりします。
そんな中、どうすれば行きたい部署に行けるのでしょうか。
残念ながら、その方法は私にも分かりませんが、入職する時や、働きだした早い段階で上司に、こんな分野で働きたい、〇〇の資格を取りたいなどタイミングあれば積極的に伝えておくのがいいかもしれませんね。
悪い点②給料は安い!! 良い点④だが休みは多い!!
大学病院の薬剤師と言わず病院薬剤師は全体的に安い印象があります。
調剤薬局やドラッグストアの薬剤師さんと比べると明らかに安いですよね。特に入職時は、、、
参考程度に私が大学病院で入職1~2年目の年収は300万前半、8年ほど働いた時の年収が500万あるかないかといったところです。
大学病院はいろいろな経験が出来ますし給料が全てとは言いませんがもうちょっと給料ほしいですね!!
大学病院でとりたかった資格をとったり、やることがなくなってやりがいを感じなくなった時は転職のタイミングかと思っています。
一方で休みは多いです。私が働いていた施設での話ですが土日、祝日は基本的には休みです。
休日に当番が当たることもありますが、働いた分はどこかで代休をとることができます。
夏休みも6日ほどとれます。部署の都合がつけば、土日と夏休みを繋げて1週間の休みも作れたりします。
薬局の薬剤師さんだと、土曜も半日働いたりすることが多いので、病院薬剤師と比べて連休は少ないです。
『給料が高くても休みが少ない』がいいか、『給料が安いけど休みは多い』がいいか、、、どっちが良いかは人それぞれですよね!
悪い点③宿直がつらい!!
大学病院のような大きな病院では、宿直、つまり泊りがあります。
私の働いていた病院ではひと月に1~2回の泊りがありました。
宿直室でのんびりテレビでも見て、眠くなった時に朝まで眠れたらいいんですが、夜中に看護師さんがガンガン薬を取りに来るので酷い時は1時間おきに起こされます。
医師や看護師からの問い合わせも1人で対応します。自分が知らない分野の事を聞かれると調べたりしないといけないので辛いです。。。
なかには当直が嫌で大きな病院で働きたくないという方もいますね。
当直だりぃ~!!入りたくない~!!
まとめ
大学病院の薬剤師として働く良い点と悪い点について解説しました。
- 薬剤師の人数が多く人間関係はあまり疲れない
- 資格をとるには良い環境
- 研究をするには良い環境
- 休みは多い
- やりたいことができるかはわからない
- 給料が安い
- 宿直がつらい
大学病院に興味がある方の参考になれば幸いです!
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