がんの資格をとるためには、筆記試験を受診し、合格する必要があります。
自分で、参考書のような本を使って勉強できればいいんですが、なかなか理解しにくい領域があったり、なんか自分で勉強する気にならなかったりしますよね。
そこでお勧めする方法が、学会が主催の勉強会、セミナーに参加して勉強することです。
私は、日本臨床腫瘍薬学会と日本医療薬学会が開催するセミナーに参加して勉強していました。
がんの勉強を始めたばかりの薬剤師を対象にしたセミナーから、ある程度がん領域を勉強してきた薬剤師向けのセミナーまで幅広くセミナーがあるため、自分のレベルに合わせて勉強することが出来ます。
私が主に参加していたセミナーは、、
日本臨床腫瘍薬学会
- スタートアップセミナー
- ブラッシュアップセミナー
- エッセンシャルセミナー
日本医療薬学会
- がん専門薬剤師集中教育講座
となっています。
このページではがんの資格取得の時に役に立つセミナーの種類について簡単に解説します。
日本臨床腫瘍薬学会が主催するセミナー
日本臨床腫瘍薬学会ではいろいろなセミナーが用意されています。
日本臨床腫瘍薬学会の外来がん治療認定薬剤師を取りたい方は、セミナーに何度か参加して単位を溜めることが必須となります。
他の学会のがんの資格を目指す場合でも、試験勉強としてセミナーへの参加は可能です。
私も資格取得後も定期的に勉強のために参加しています。
以下に私が参加していた『スタートアップセミナー』、『エッセンシャルセミナー』『ブラッシュアップセミナー』の内容について簡単に載せておきます。
セミナーの開催の情報はどこでわかるの?
会員であれば登録したメールアドレス宛に、セミナーの申し込み時期が近くなってくるとメールが届きます。申し込み可能な時期になったらで、学会のWebページから申し込み可能です。
セミナーの年間スケジュールや申し込み開始日は学会のWebページから確認可能です。
セミナーの開催形式は?
以前は集合形式で大阪や東京、福岡等の会場に集まってセミナーがありましたが、最近はコロナウイルス感染拡大の影響で、自宅のパソコン等からWeb配信(オンデマンド)で受講することが可能となっています。
セミナーの内容は?
スタートアップセミナー
スタートアップセミナーは名前の通り、がんの初学者向けのセミナーです。
抗がん剤を扱う部署に異動になったばかりで何から勉強しようか迷っている時や、がんの資格を目指そうと思った時に最初に受けてもいいセミナーかと思います。
令和3年度に開催されたセミナーの内容としては、
- がん薬物療法・細胞障害性抗がん剤の基本知識
- 分子標的薬・免疫チェックポイントの基礎知識
- 大腸がんの基礎知識
- 肺がんの基礎知識
- 乳癌の基礎知識
- 緩和ケアの基礎知識 となっています。
内容から見ても抗がん剤の基本的な知識や、普段良く関わるようながん種をメインで教えてもらえることが分かりますよね。
私も臨床腫瘍薬学会の外来がん治療認定薬剤師を目指してみようか、となってから一度だけ受講しています。
ちなみに参加費は会員4400円 非会員5500円となっていました。
エッセンシャルセミナー
エッセンシャルセミナーは外来がん治療認定薬剤師に身についてほしい薬学的知識を習得するための研修プログラムとなっています。エッセンシャルセミナーA、B、Cの3種類のセミナーが用意されています。
私は2年に1回くらいのペースでA、B、Cそれぞれのセミナーへ参加しています。
資格取得には必ず筆記試験がありますので、可能であれば試験までに一度はA、B、C全て受けておくことをお勧めします。
令和3年度の内容としては以下の通りとなっています。新薬の紹介をしてくれるのはありがたいですね!
Aプログラム
- がん薬物療法概論
- 細胞障害性抗がん薬の臨床薬理
- 細胞障害性抗がん薬による副作用と支持療法
- 2021-2022新薬紹介(タズベリク®、ハイヤスタ®)
Bプログラム
- 内分泌療法の臨床薬理
- 分子標的抗がん薬の臨床薬理
- 分子標的抗がん薬による副作用と支持療法
- 2021-2022新薬紹介(ルマケラス®、レットヴィモ®)
Cプログラム
- がん免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)の臨床薬理
- がん免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)による有害事象と支持療法
- 緩和領域で用いる薬剤の基本
- がん治療に関連する医療制度
- 抗がん薬の開発・承認
- がんの曝露対策
- 2019-2021新薬紹介(アベクマ®、パドセブ®、ユニツキシン®、デリタクト®)
A、B、C全てのセミナーを受けてもいいし、内容を見て自分に必要そうなセミナーだけ受けることも可能ですね。
1セミナーあたりの参加費は会員:6600円 非会員:11000円
3セミナー同時申し込み(会員のみ):19200円 と1セミナーずつ払うよりすこーしだけ安くなってるみたいです。
ブラッシュアップセミナー
ブラッシュアップセミナーは、がん薬物療法の第一線で活躍している専門的な知識及び経験を有する薬剤師による最新の知見と薬学的管理の実際について学ぶ、講義形式のセミナー(JASPOのWebページより抜粋)、となっています。
令和3年度の内容としては以下の通りです。
- 慢性骨髄性・慢性リンパ性白血病における薬学的な介入
- 腎細胞がんにおける薬学的な介入
- 頭頸部がんにおける薬学的な介入
- 小児がんにおける薬学的な介入
- 大腸がんにおける薬学的な介入
- 乳がんにおける薬学的な介入
- 腫瘍循環器における薬学的な介入
私は過去のセミナーに参加しました。
タイトルでは薬学的な介入となっていたため、症例サマリーの紹介のようなものを期待していたのですが、実際は、がん患者に使用する薬剤、レジメン、薬剤の注意点、副作用マネジメントなどを中心に紹介されていました(最近は違うのかもしれませんが、、)。
とても勉強にはなるので、試験勉強としてはお勧めですが、内容が少しタイトルとは違うような印象があったセミナーでした。
セミナーの参加費は会員:6600円 非会員:11000円 となっていました。
日本医療薬学会が主催するセミナー
がん専門薬剤師集中教育講座は、がん専門薬剤師(医療薬学会)を目指す方は1回以上参加していることが必須のセミナーになってきますが、外来がん治療認定薬剤師や、がん薬物療法認定薬剤師を目指す方、資格は目指さないけどがんの勉強をしたい方など誰でも受講することが出来るセミナーです。
セミナーの開催の情報はどこで分かるの?
医療薬学会の会員であれば、セミナーが開催される場合は事前に、会員のメールアドレス宛に申し込み案内・セミナー受付開始のメールが届きます。学会の会員であれば基本的にはメールを見ていれば把握できるかと思います。
また、医療薬学会のWebページ中央の『年会・セミナー』のタブをクリックして、開催する前にも案内が載せられています。一応ですが参加の定員(令和3年度は3000名程度)がありますので、参加するのであれば、受付開始となった時点で早めに受付することをお勧めします。
2022年度のがん専門薬剤師集中教育講座の開催計画(予定)は今のところ以下の通りとなっています。
参加申込期間 配信期間の2ヶ月~1ヶ月前
配信期間 2022年11月~12月 Web研修形式
セミナー形式は?
コロナが広がる前は東京や京都、福岡等の会場に集まって集合形式でセミナーを行っていましたが、最近はコロナウイルス感染拡大の関係でWeb配信(オンデマンド)で行っています。家で好きな時に参加できるのはいいですね。個人的には集合形式も好きなのでいつか集合形式で行えるといいな~。
令和3年度の配信期間は11月1日~12月28日までとなっていました。約2か月間ありますね。
セミナーの内容は?
令和3年度の1つのテーマで講義時間が50分あります。
11テーマが必須講義となり、プラスして選択用に用意されている8講義の中から4講義以上受講することで、受講賞をもらうことが出来ます。以下は令和3年度の集中教育講座の内容となります。
必須講義(全て受講が必要)
- がん薬物療法の臨床薬理
- 支持療法
- がん薬物療法と臨床試験
- 安全ながん薬物療法の実践
- 緩和医療とがん薬物療法
- がんの発生、転移、薬剤耐性
- 乳癌の薬物療法
- 肺がんの薬物療法
- 大腸がんの薬物療法
- 胃がんの薬物療法
- 悪性リンパ腫の薬物療法
選択講義(4講義以上の受講が必須)
- 泌尿器がんの薬物療法
- 皮膚腫瘍
- 婦人科領域の薬物療法
- 小児がんの薬物療法
- 頭頸部がんの薬物療法
- 放射線腫瘍学
- 肝臓、胆道、膵癌の薬物療法
- 白血病、造血幹細胞移植
めっちゃ多いですよね。ただこの講義を受けていれば、必要な領域のがん腫がほぼ勉強できそうです。
講義は医師と薬剤師で行っていますが、がん腫の講義は各診療科の医師が行います。講義内容は臨床試験の結果もたくさん出てくるため、初めて講義を受けた時は難易度としては個人的には難しく感じました。
がん腫の講義を受ける前に、自分でざっくりと勉強してから受ける方が頭に入ってきやすかったです。例えば、『がん必須ポイント』を使って大腸がんの分野を一通り終わらせた後に講義を受ける、といった感じですね。
最新の知識を取り入れるにはとても役に立つセミナーです。
参加頻度はどれくらいがいい?
私は2年に1回くらいのペースで受講してます。1年に2回受けた年もありましたが、あまり頻繁に受けても前回のセミナーと内容がかぶる部分もあるな~と感じてしまいました。
何より参加費が高いですね!!会員価格で1回22000円はきついです!!(非会員は33000円!)
自分の施設からお金が出るなら毎回受けてもいいですが、毎回自費で参加しているのでつらいです。。。参加費を出してくれる施設はうらやましい限りです!!
翌年には受験を控えている場合は、受けて自分の知識を整理してもいいかもですね!
まとめ
がんの資格を取るときには必ず筆記試験を受けて合格する必要があります。
試験勉強には、日本臨床腫瘍薬学会、医療薬学会が開催しているセミナー・勉強会を利用しましょう。
参加するにはお金はかかりますが、自分だけで勉強しても理解しにくい領域を学ぶ時に非常に役に立ちます。
セミナーに参加して、自分でも勉強して必ず試験に合格しましょう!!
コメント