乳がんは数あるがんの中でも比較的関わる機会の多いがんですよね。
今回は、乳がんを初めて自分で勉強しようとしたときに、読んで役に立ったな~と思った本『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』について紹介したいと思います(2023年版が2023/2/10に発売しました)。
お勧めするポイントはザックリと
- 患者さんによく聞かれる質問が載っている
- 易しく読みやすい文章
- 古いけど2019年版は無料でWeb版も見ることが出来る
の3点です。
患者さんだけでなく、がんに関わることになった医療者が読んでも役に立つ1冊です。
さっそく見ていきましょう!
患者さんからよく聞かれるような質問が載っている
私もよく薬剤導入の説明をしていますが、その時にいろいろな質問を患者されて困ったことはありませんか?
『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』の【生活習慣と乳がん再発リスクとの関連について】という項目では、
- 肥満は乳がん再発リスクと関連がありますか
- 脂肪の摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか
- アルコール飲料の摂取は乳がんの再発リスクと関連がありますか
- 乳製品の摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか
- 食事によるイソフラボン摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか
- 喫煙は乳がん再発リスクと関連がありますか
- 運動は乳がん再発予防に有効ですか
などといった内容ついてもわかりやすく解説してしてます。
ここに載ってる内容けっこう患者さんに聞かれませんか?
私は術後ホルモン剤の導入中などによく聞かれます。
『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』の解説は表現が易しいため、そのまま患者さんの指導にも使用できます。
例えば、
Q:肥満は乳がん再発リスクと関連がありますか という問題に対しての回答は、
A:最初に乳がんと診断されたときに肥満であった患者さんの乳がん再発リスクと乳がん死亡リスクが高いことは確実です。ただし,トリプルネガティブ乳がんに限って検討すると,乳がん診断時に肥満であった患者さんの乳がん再発リスクと乳がん死亡リスクが高いかどうかはまだ不明です。また,乳がんと診断された後に肥満になった患者さんの乳がん死亡リスクが高いこともほぼ確実です。すべての乳がん患者さんで,適切なカロリー摂取と適度な運動によって肥満を避けることが強く勧められます。(患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019から抜粋)
といったかんじです。
これなら文章の一部をもう少し表現を易しくしてあげれば、患者さんの説明にも使えそうじゃないですか⁉
ちなみに『患者さんのための』ではなく通常の『乳がん診療ガイドライン』で同じQの解説を見てみると難しい~!!ってなります。。。
私としては、患者さんに説明する内容は『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』を参考にするだけでほぼ十分だと感じています。
もっと詳しい背景が知りたい!っていう方は『乳がん診療ガイドライン』の方を読んでみてくださいね!
易しく読みやすい文章
『患者さんのための』と記載されているだけあって、難しい言葉は少なく、わかりやすい表現で文章が書かれています。
私は論文とか、ガイドラインとか難しーくきちっと書かれている読み物は一応読みますが少し苦手でして、できるだけ易しく書かれた本が読みたいということを常に考えています。
医療者向けに作られた『乳がん診療ガイドライン』は私としては、初めて読むには難しいですね。詳細な臨床試験での成績など根拠に出して、どういう結論に至ったかを書いています。
読んでると勉強にはなるんですが、とても頭が疲れますし、難しい言葉がたくさん出てきて、なかなかスラスラ読めません(そんなことない薬剤師さんもたくさんいるとは思いますが)。
まずは『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』を読んで、乳がん治療で診断、手術、放射線、薬物療法など、基本的なことを理解した上で、『乳がん診療ガイドライン』を読んでみる方が、内容が頭に入りやすいかと思います。
古いけど2019年版は無料でWeb版も見ることが出来る
最新の『患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023』は今のところ(2023/2/10時点)ではWebで見ることはできませんが2019年版は無料でWeb上でも見ることが可能です(Web版はこちらから)。
今後は2023年版もWeb上で見れるようになってほしいな~と思ってますが電子版が有料であるところをみると難しいのかな。
個人的には本の方が見やすくて好きですが、Web版でも内容を読んで勉強することは可能ですね。
電子版の購入はこちらのページから購入できそうです。
電子書籍:M2PLUS
電子書籍:医書.jp
まとめ
『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』は、乳がんを勉強する初学者のために、とてもわかりやすく書かれた本です。
乳がんの治療の流れはもちろん、日常生活での気になる問題点なども扱っているため、患者さんに質問された時に参考にできる内容がたくさん含まれています。
患者さんはもちろん、がんに関わることになった医療者にもお勧めできる1冊です。
本だけでなく電子書籍版もあるので好きな方で勉強して知識を深めていきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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