お薬手帳やカルテを見てると、患者さんのアレルギー歴に『ピリン系アレルギー』って書かれてることありませんか。
ピリン系アレルギーとはなんぞや?
ピリン系解熱鎮痛剤を使うことで薬疹(ピリン疹)などの過敏症状をおこすことですね。
ピリン系薬剤に対して過敏症状の既往歴を持つ患者さんには、ピリン系解熱鎮痛剤は避けるべきと考えられます。
この記事では、ピリン系解熱鎮痛剤に含まれる医療用医薬品、市販薬には何があるか、ピリン系薬剤が使えない場合に代わりに何が使えるかについて考えていきます。
ピリン系薬剤には何がある? 市販薬にいくつか含まれている
ピリン系薬剤はピラゾロン骨格を持っている薬剤のことで、成分として『アンチピリン』、『スルピリン』、『イソプロピルアンチピリン』などがあります。
よく勘違いされるのがアスピリンですが、アスピリンはピラゾロン骨格ではないためピリン系ではありません。つまりアスピリンはピリン系アレルギーにも使用可能です。ややこしいですね。。
医療用医薬品と一般用医薬品でこの成分を含んだ薬剤に何があるか調べてみました。
ピリン系とされる医療用医薬品
まず医療用医薬品ですが、
- アンチピリン
(調べても医療用では出てこない。アンチピリンを含むミグレニンが過去には使われていたが現在は販売中止されている) - スルピリン
(商品名:スルピリン注はまだありそうだが最近は使われる機会はほとんどなさそう。過去にはメチロンもあったが現在は添付文書で検索しても出てこない) - イソプロピルアンチピリン
(商品名:SG配合顆粒、クリアミン配合錠A1.0、クリアミン配合錠S0.5)
などがあります。
スルピリンはほとんど使われないので大丈夫な気もしますが、SG配合顆粒やクリアミン配合錠は処方されることが今でもたまにあるのかな。
もし処方されていた場合は、患者さんにピリン系アレルギーの既往歴がないか確認が必要ですね。
ピリン系とされる市販薬
市販薬ではどうでしょうか。結構たくさんありそうです。
- セデス・ハイ、セデス・ハイG
- セミドン顆粒
- サリドンA、サリドンWi
- タイムコールP錠
- パイロンハイEX
- プレコール持続性カプセル
- ルルアタックFXa
以下に写真も載せてみました。
患者さんって何飲んでるか聞いても薬の写真見せてあげないと思い出さないことも多いですよね。
だいたいの薬の外箱にはピリン系との記載が書いてありました。
ピリンアレルギーに対してピラゾロン系以外のNSAIDsは使用可能
ピリンアレルギーの患者さんには、ピラゾロン系以外のNSAIDsは使用可能とされています。
以下に使用可能賭される薬剤の一部を載せています。
- サリチル酸系=アスピリン
- アリール酢酸系=インドメタシンファルネシル、エトドラク、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク
- アントラニール酸系=メフェナム酸
- プロピオン酸系=ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウム
- 塩基性=チアラミド
- アニリン系=アセトアミノフェン
- コキシブ系=セレコキシブ
ロキソプロフェンやセレコキシブ、アセトアミノフェンなどよく使用される薬剤も使用可能ですね。
まとめ
- ピリン系解熱鎮痛薬の使用で見られる薬疹などの過敏症状をピリンアレルギーと言う
- 医療用医薬品では使用可能なピリン系薬剤にスルピリン注、SG配合顆粒、クリアミン配合錠などがあるが最近では使われる機会も少ない。
- 市販の解熱鎮痛薬にはピリン系薬剤は多く存在するため注意。使う前にピリンアレルギー歴がないか確認をしっかりと。
- ピリンアレルギーでもピラゾロン系以外の薬剤は使用可能とされる。ロキソプロフェンやセレコキシブ、などは使用OK。
以上、ピリン系アレルギーについてでした!少しでも参考になれば嬉しいです!
参考書籍:月刊薬事 2019年10月臨時増刊号(Vol.61 No.14)
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