薬剤師になってからも、特定の領域を更に勉強して〇〇認定薬剤師とか〇〇専門薬剤師の資格取得を目指す方がいます。
認定薬剤師や専門薬剤師を持っていると、この人はこの分野には詳しい薬剤師なんだろうな~ってすぐに分かりますよね!
最近はいろいろな分野で認定薬剤師や専門薬剤師も増えてきて、選ぶ選択肢も多いように感じます。
この記事を書いている薬剤師ヒコナリは、がん領域の資格である『外来がん治療認定薬剤師』という資格をもっています。
がんの領域は少~しだけ詳しいですが、がん以外の領域はわからんことばかりです。。。
がんの資格についてであれば、少しはお話しすることが出来るので、
この記事では、
- 『外来がん治療認定薬剤師』ってどんな資格?
- 複数あるがんの資格の中でおすすめする理由
- どうやったら『外来がん治療認定薬剤師』になれるの?
- 資格とるのは大変だった?
という内容について書いていまみました。
『外来がん治療認定薬剤師』を取りたい!、興味ある!という人はぜひ読んでみてください。
『外来がん治療認定薬剤師』ってどんな資格?
薬剤師になった後に取得できる資格の一つに、『日本臨床腫瘍薬学会』という学会が認定している『外来がん治療認定薬剤師』があります。
普通の薬剤師と何が違うのでしょうか。
すごく簡単に言うと、外来でがん治療を行っている患者さんに対して、普通の薬剤師以上により専門的ながん治療に関する知識を持って患者指導ができる薬剤師です。
最近はがん治療で使用する薬剤の種類もめちゃめちゃ増えてます。
たくさんある内服抗がん剤の正しい飲み方、副作用軽減を目的に処方される薬の上手な使い方、日常生活での注意点、自宅でのセルフケアの方法、などをよく知っている『外来がん治療認定薬剤師』は、がん患者さんの治療をサポートする上で頼もしい存在です。
がんの資格を持ってる薬剤師!って聞くとなんかカッコいいですよね!
複数あるがんの資格の中でおすすめする理由
薬剤師がとることのできるがんの資格は、いくつかありますが、その中でも『日本臨床腫瘍薬学会』の『外来がん治療認定薬剤師』はお勧めできる資格です。
その理由としては、他のがんの資格である『がん専門薬剤師』や『がん薬物療法認定薬剤師』と比較して、資格取得までのハードルが低いことです。
例えば、がんの資格を取る時に必ず書くことになる症例の数が『外来がん治療認定薬剤師』は10症例と少ないことです(介入症例は外来患者に限ります)。
一方で、『がん専門薬剤師』や『がん薬物療法認定薬剤師』は50症例が必要になってきます(介入症例は外来・入院患者どちらでもOK)。
10症例か50症例かの差はかなり大きいですよね。
50症例を集めるために介入する患者さんの数、様々な種類の介入を行い、それを文章に書き起こす作業の大変さは単純に5倍になります。50症例書き上げるのは気持ち悪くなるレベルの大変さです。
個人的には、初めて症例を書くのは10症例が程よい数と考えています(最初は10症例でも楽ではないですが)。
また、『がん専門薬剤師』や『がん薬物療法認定薬剤師』は、専門病院での一定期間の研修が必須になりますが、『外来がん治療認定薬剤師』は今のところ病院研修は必要ありません。
そのため、外来でのがん治療に関わっている施設であれば、病院薬剤師だけでなく、薬局薬剤師もとることができる資格になります。
がんの資格の種類によって、取得までの大変さは違いますが、仕事上で行えることは一緒です。
例えば、がんの資格を持っていると、がん患者さんに必要な条件を満たして薬剤指導を行った時に『がん患者指導管理料ハ』を診療報酬として算定することが可能です。
これは、『がん専門薬剤師』、『がん薬物療法認定薬剤師』、『外来がん治療認定薬剤師』のどの資格でも同じように算定可能です。できることは変わらないんですね。
あえて違うことがあるとすれば、『がん専門薬剤師』は医療法上広告ができる資格になります。
以上の事から、まずはがんの資格を目指すのであれば、比較的とりやすい『外来がん治療認定薬剤師』をお勧めしています。
まずは、『外来がん治療認定薬剤師』をとって、更に上を目指したい!という場合は、『がん専門薬剤師』、『がん薬物療法認定薬剤師』を目指してみてはいかがでしょうか。
どうやったら『外来がん治療認定薬剤師』になれるの?
『外来がん治療認定薬剤師』になるにはどんな条件が必要でしょうか。簡単にですが見ていきましょう。
最低限必要なこと
まずは、『薬剤師免許を持っていて、3年以上薬剤師として働いた経験がある人』+『申請時に日本臨床腫瘍薬学会の会員で、しっかり年会費を払っている(未納になっていない)』というのが大前提になります。
そして、『外来がん治療認定薬剤師』の新規申請には、以下の認定薬剤師を前もってどれか一つとっておく必要があります。これが少しめんどくさいですね。。。
- 日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師
- 日本病院薬剤師会 日病薬病院薬学認定薬剤師
- 日本薬剤師会 JPALSクリニカルラダーレベル5認定薬剤師をはじめとする認証番号にGまたはPのついた認定薬剤師制度
- 日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師
この4つのどれかを持ってないと、そもそも『外来がん治療認定薬剤師』の新規申請が行えません。。取れるなら早めにとっておくことをお勧めします。
私の場合ですが、『日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師』をとってこの条件は満たしました。
私は病院で働いていますが、周りの新規申請者は、『日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師』か、『日病薬病院薬学認定薬剤師』のどちらかを取って申請していました。
薬局の薬剤師さんは『日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師』を持ってる人が多いのかな?
現在はどうかわからないですが、『日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師』は勉強会に参加して単位を集めるだけで1年かからずにとることが可能だったので、そこまで苦労せずに取得できました。
学会に参加して単位を集めよう
それから、『日本臨床腫瘍薬学会』が認定するがん領域の講習または研修に参加して単位を60単位以上を集める必要があります。学会に参加したり、セミナーに参加するだけで単位は集まるので60単位は決して難しくはないです。学会に2日参加すれば20単位くらいもらえます。
症例審査・筆記試験・面接試験
一番の大変なのは、外来患者に対しての薬学的介入を要約した文章(症例)を10個提出することです。外来でたくさんのがん患者さんに関わって、たくさん薬学的介入を行う必要があります。
症例提出後は、筆記試験、面接試験が行われます。
筆記試験では、幅広いがん治療に関する知識が問われます。自分が関わらないがんも、聞いたことない薬もがんがんに出題されます!笑
私が受けた時は、マークシート方式で午前中に50問(90分)、午後に50問(90分)の試験でした。
記述が5つくらいあって正しいものや誤ったものを〇個選びなさい、といったかんじです。
私はあまり頭が良くなかったので、受けた時はなかなか難しく感じましたが、しっかり勉強しておけば受からないことはない試験です。(勉強の仕方は、【学会が開催するセミナーに参加して勉強しよう!!】や、【がんの資格取得の勉強に使った本】を参考にしてください)
面接では自分が関わった10症例について10~15分程度、2人の面接官からいろいろな質問をされます。
例えば、『何を根拠にこの提案を行ったか』、『介入事例のその後』『セルフケアの指導のポイント』など様々です。
面接は落とすような試験ではなく、しっかり申請者が提出した10症例に関わっているかを確認しているような印象を受けました。
症例審査、筆記試験、面接試験の全てに合格すると外来がん治療認定薬剤師になることが出来ます!!
学会のWebページに認定を受けるための募集要項を自分でも見てみましょう。
外来がん治療認定薬剤師(APACC) 2022年度認定試験(第9回) 募集要項 ←クリックして外部サイトへ
とるのは大変だった?
がんの資格の中では『外来がん治療認定薬剤師』はとりやすい資格ですが、それでも決して資格を取るのは楽ではないですね!
外来のがん患者さんと関わって、症例になるような薬学的介入を集めたり、症例を書いたり、勉強会に出て単位集めたり、試験勉強したりと、やることはたくさんあります。疲れます!!
でも、がんの資格持ってたらなんか少しカッコいいよな~とか考えながら自分のモチベーションを上げて頑張ってました!
頑張って資格を取ることが出来ましたが、取れた時はめっちゃ嬉しかったですよ~。
それと資格をとってからは、もっと勉強しないとダメやなって気持ちになりました!
有資格者としてもっとしっかりしないといけない!みたいな責任感みたいなもんでしょうか。
まとめ
『外来がん治療認定薬剤師』は、『日本臨床腫瘍薬学会』が認定しているがんの資格の一つで、専門的ながんの知識をもって、がん患者さんに薬剤指導を行うことができる薬剤師です。
複数あるがんの資格のなかでも取りやすく、初めて目指すがんの資格としてお勧めです。おすすめポイントとして、
- 提出する症例数が10症例と少ない
- 病院での研修が必要ない
- 他のがんの資格と同様に『がん患者指導管理料ハ』が算定可能
- 薬局の薬剤師さんも取得可能
となっています!
お勧めの資格ではありますが、症例を集めたり、書いたり、勉強会で単位を集めたり、試験勉強したりと、やることはたくさんあって残念ながら楽にはとれません。。。が、
このブログで少しでも資格取得の参考になれば嬉しいです!
頑張ってがんの資格とりましょう!!
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