前立腺がんの患者さんにアーリーダ(アパルタミド)を最近導入説明する機会が増えてきたので、勉強していく。
アーリーダの副作用もいろいろあるけど困る副作用の一つに皮疹がある。
今のところ、私が関わった患者さんは皮疹で困る患者さんは経験しないが、皮疹の予防や皮疹出現時にできる対応について考えてみる。
保湿剤の予防塗布、皮疹出現後のステロイド軟膏、抗ヒスタミン剤は何使うかなどなど!
皮膚症状の予防はやっぱり保湿、皮疹が出ればステロイド外用剤
アーリーダ開始時は、皮膚症状の予防にヒルドイドローション(ヘパリン類似物質ローション)のような保湿剤を手持ちに持たせておく(市販の保湿剤でもOK)。
使うのは男性ということを考えると、ベタベタするようなソフト軟膏、クリームよりはサラサラするローションの方が好まれそう(ベタベタするから塗りたくない人は多い印象がある)。
内服開始日から、好発部位とされている前胸部や背中は1日2回以上を目安に塗布してもらうように指導する(背中に塗り薬を塗る時に使える伸縮棒みたいなものも通販で売っている)。
アーリーダ使う方は前立腺がんなので、ある程度年齢が高いおじちゃんが多く、保湿の習慣はないことが多い。
女性と違いなかなか、男性で高齢の方は予防的には塗らないため、繰り返し繰り返し保湿の必要性を説明する(説明時に家族が同席すれば家族の方にも説明)。
皮疹が出れば、部位ごとにステロイドの塗り薬を1日2回を目安に塗布してもらう。
顔:ロコイド軟膏(マイルド)
体:マイザー軟膏(ベリーストロング)
頭:アンテベートローション(ベリーストロング)
導入時からステロイド軟膏を持たせたほうがいいかは何とも言えない気がするが、今後アーリーダの症例が増えて皮疹が好発するようなことが増えてきたら、導入時にステロイド軟膏も持たせておくように主治医と相談が必要かな〜。
皮疹出現時の抗ヒスタミン剤は相互作用が少ないタリオンがいい?
アーリーダは相互作用が多い。これはほんと困る。。。添付文書の相互作用の欄を見ると以下のように記載されている。
- アーリーダは主にCYP2C8、CYP3A及びカルボキシエステラーゼにより代謝される。
- アーリーダは、CYP2C9、CYP2C19、CYP3A、P糖蛋白(P-gp)、Breast Cancer Resistance Protein(BCRP)及び有機アニオン輸送ポリペプチド1B1(OATP1B1)を誘導する。
相互作用の少ない抗ヒスタミン剤を調べてみるとタリオン(ベポタスチン)がCYPなどの影響も受けなそうで使いやすいか(ただしタリオンは腎機能によって調節は必要)。
眠気が出にくく使いやすいフェキソフェナジン、ビラノアはP糖蛋白の基質になるため誘導されてしまうため効果限弱の可能性あり。
デザレックスは頻度不明で痙攣発作の報告あるため、アーリーダとの併用で、痙攣発作の閾値低下の可能性があるため使いにくい。
アレロック(オロパタジン)は眠気が強そうだけど、相互作用は大丈夫そう。
アレロックのインタビューフォームを見てみると、
オロパタジン塩酸塩の代謝物の中で N-モノ脱メチル体(M1)の生成には CYP3A4 が関与している。しかしながら、M1 の生成はごく微量なことから、チトクローム P-450 阻害作用を有する薬剤と併用しても、オロパタジン塩酸塩の血漿中濃度に大きな影響はないと考えられる
とされている。
個人的には眠気もそこまで出にくいタリオンでも試してみてもいいのかなと考えています。
皮疹予防にミノマイシンの予防効果は不明
抗EGFR抗体のアービタックスやベクティビックス、EGFR-TKIのタグリッソやジオトリフなどで見られる皮膚障害予防にミノマイシンが効果があるが、アーリーダの皮疹に対して予防効果があるという報告は今のところなさそう。
誰か効いたとかいう報告知ってたら教えてください!
メーカーサポートで『かけはし』も使ってみる
患者さんがアーリーダ内服開始後に、電話で体調チェックを受けたり、飲み忘れた時の対応や副作用出現時の対応が相談できるサービスがある。
病院に電話してもなかなか繋がらないことも多いし、必要な患者さんもいる気がする。
開始時に、患者さんに連絡先情報を記載用紙に記入してもらい返信用封筒で送るとこのサービスが受けられるらしい。
私が導入時にアーリーダを説明した患者さんにもこのサポートを紹介済みだが実際に使ってみてどうかは今後聞いてみたいところ。
まとめ
- アーリーダ開始時は皮疹予防にローションタイプの保湿剤で1日2回、前胸部、背部を塗布してもらう。
- 皮疹がでれば顔:ロコイド、体:マイザー、頭:アンテベートを1日2回塗布する
- 抗ヒスタミン剤を使う場合は、タリオンやアレロックがアーリーダとの相互作用が少なそう
- アーリーダの皮疹に対してはミノマイシンが有効というデータは今のところない
- アーリーダ内服中の患者は書類で申し込むことで専任の看護師さんの電話サポートを受けることができる
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