外来の介入症例は『薬剤師外来』で集めよう!

症例サマリ

がんの資格を取るには薬学的な介入を行った症例の提出が必要ですが、なかなか症例を集めるのって大変ですよね。

私は主に外来患者に介入を行い症例を書いていましたが、外来では『薬剤師外来』といって薬剤の導入説明診察前の待ち時間を利用して患者さんと薬剤師が面談を行う時間があります。

この『薬剤師外来』を行うことで、たくさんの患者さんへスムーズに介入することができ、症例をためることができました。

今回の記事では、この薬剤師外来についてお話しします。

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薬剤師外来とは?

私の施設では外来に薬剤師が常駐し、がん患者さんに対して『薬剤師外来』というものを行っています。

『薬剤師外来』の内容としては大きく2つあります。それが、『内服抗がん剤やオピオイドの導入説明』『導入後の継続サポート』です(施設によって行ってる内容は微妙に違ってくるかもしれません)。

『薬剤師外来』では、患者さんへ介入できる機会も多いので見ていきましょう。介入をたくさん行って患者さんの治療継続に繋がればきっといい症例になります。

導入説明の時に必要な薬剤を提案しよう

まず、薬剤の導入説明についてです。

私の施設での導入の流れとしては、外来の診察後に医師や看護師から『外来担当薬剤師』の電話へ導入依頼の電話が入ります。

電話で『明日からS-1を導入することになりました。薬剤説明をお願いします』とか、『オキシコドン錠とオキノーム散を開始したいので薬剤説明をお願いします』いった感じ頼まれます。

導入時の説明では飲み方、副作用、持参薬との相互作用、自分でできるセルフケア等を中心に説明思案すが、この導入時に、介入のポイントがあります。

導入薬剤の頻繁に出やすい副作用は何でしょうか。副作用の予防や、症状が出て困る時に使える薬が一緒に処方されているか確認してあげましょう。

処方が出てなければその場で先生に処方提案を行います。

例えば、簡単にですが例をあげてみます。

制吐剤の処方提案例

リムパーザ(オラパリブ)は内服開始時の嘔気が出やすいので、制吐剤の処方が出ていなければ、メトクロプラミド錠5mgを1日3回で使えるように薬剤師から処方提案しています。

患者さんへの説明としはリムパーザ飲み始めは、予防的にメトクロプラミドを1日3回、一緒に内服してもらい、4,5日経過し嘔気が問題なければメトクロプラミドを漸減。最後は頓服にして嘔気が出た時のみ内服してもらっています。長期間飲むと錐体外路障害も気になりますしね。

保湿剤の処方提案例

皮膚症状で手足症候群が出やすいカペシタビン(ゼローダ)や、ざ瘡様皮疹が出現するアファチニブ(ジオトリフ)等がありますが、導入時に保湿剤の処方が出てなければ、皮膚障害の予防に塗布してもらう保湿剤の提案を行っています。

手足のみの塗布であればヘパリン類似物質(油性)クリームを、全身の塗布であればヘパリン類似物質ローションが広範囲へ塗布しやすいと考えて提案しています。症状が出てからではなく、導入時から予防的に塗ってもらいましょう。

特に保湿剤等の外用剤の処方は、出ていないことが多い印象がありますので、薬剤師から処方提案することが多いです。言い方を変えると、外用剤での介入は集まりやすいと考えることもできます。

特に、新しく使えるようになった薬剤や、適応が増えて使えるがんの種類が増えた場合は、先生も使い慣れていないこともあります。できればあった方がいいな~という薬剤が出ていない場合は薬剤師が処方提案して介入するチャンスですね。

導入時に副作用対策、予防に使える薬を患者さんに持たせて、しっかりと薬剤の使い方を指導すれば患者さんは自宅で副作用が出ても、許容できる範囲内で過ごせる確率が上がります。

そして、導入時に医師へ提案した内容は、自分の介入として症例に記載することが出来ますね。

導入したらそこで終わりではなく、『継続サポート』に繋がっていきます。

導入後の継続サポートは診察前の待ち時間を有効に使おう

導入後、次に患者さんが受診した時に、患者さんと面談します。

面談では、しっかり抗がん剤は飲めたかな?副作用は大丈夫だろうか?自分が提案した薬剤で副作用はうまく乗り切れたかな?内服後に困っている症状に対して何か薬剤を先生に出してもらった方がいいかな?といったことを確認しています。これが『継続サポート』となります。

『継続サポート』を行うのは、患者さんが病院へ受診してからどのタイミングで行うのでしょうか。

それは『診察前の待ち時間』に行います。

私の働いている施設の場合ですが、診察前に採血を行って結果が出るまでに約1時間かかります。

医師は採血検査の結果を見ながら診察を行うため、採血結果が出るまでは診察が出来ません。

そこで、薬剤師は、採血後の結果が出るまでの待ち時間を使って『継続サポート』の面談を行います。

たとえば内服抗がん剤の導入説明を行った患者さんに対して、説明の最後に

次回病院に来た時に、採血後に少し寄ってもらってもよろしいでしょうか。内服後に困っていることがないか確認させていただきます

というようにお伝えしておきます。

患者さんにとっては、診察までの待ち時間に薬剤師と会って話をするだけなので基本的には断られません。

診察前に患者面談(継続サポート)するメリット

『継続サポート』では診察前に面談し、患者さんが『抗がん剤やオピオイド開始後に何で困っているか』を情報収集していきます。

そして、先生の診察が始まる前に、先生宛に伝えたい情報を事前にカルテに記載します(電子カルテでない場合は少し手間ですが医師宛に手書きのメッセージを患者さんへお渡しするのも良いかも)。以下に簡単な薬剤の提案例を載せます。

先生宛の文章の例

患者様、〇〇投与後は副作用の■■(Grade〇)がみられ、日常生活に支障が出ているようです。薬剤での対処を希望されていましたので△△の処方もいかがでしょうか。御検討よろしくお願い致します。

事前に患者さんの情報をカルテに記載しておくと何がいいのかというと、1つ目のメリットに処方提案が反映されやすいということです。

事前に薬剤師側から提示された情報を基に診察・処方を行ってもらえるためう、提案した処方が反映されやすい印象です。医師は第一に治療効果がどうか、ということを考えたいため、その他の副作用マネジメントの部分を薬剤師が補助してくれると助かるという声もいただきます。

導入時に提案した副作用対策の薬剤の効果が薄ければ、別の薬剤への切り替えなども提案していく必要があります。

2つ目のメリットとして、診察後に電話で問い合わせすることがなくなるため、医師の診察を遮ることがなくなります

外来の忙しい時間帯に先生に電話をかけるのは薬剤師側も嫌な気持ちになることがありますよね。『こんなことで電話していいのかな~』、とか『あの先生恐いんだよな~』とかですね。

診察前にカルテに記載しておいたり、文書を患者さんへお渡しして診察中に見てもらうことで、診察後に電話をかけなくていいのは大分楽ですよね!

3つ目のメリットとしては、主治医へうまく情報が伝えられない患者さんに代わり代弁できるということです。これは患者側のメリットといえますね。

どういうことかというと、患者さんのなかには医師の前だと緊張してうまく話せなかったり、良い患者を演じようとして副作用が出ていることを言わない方がいます。

そういった患者さんは医師以外の薬剤師とか、看護師とか他の医療者には、普通に話してくれることが多いです。

患者さんが伝えたいこと、伝えないといけないことを薬剤師が代わりに情報を聞き出し、主治医へ伝えることで情報の共有が可能となります。

以上のように、診察前に薬剤師が面談することはメリットが多いです。

また、困ってる点を見つけやすい分、介入もしやすくなるため、症例も集めやすいと考えています。

患者さんが困ってるところを一つ一つ解決していくことが、患者さんの治療継続、そして薬剤師の介入した症例の記載へと繋がります。

診察前に面談を行って、薬剤師の視点から薬剤提案をするのと、診察後に医師が処方を出した後に、それを自分の考えている処方に変えてもらうには負担が大きく違います。

まとめ

  • 薬剤師外来では薬剤の導入説明や、導入後の継続的な患者サポートを行っている。
  • 導入時に、副作用対策に必要な薬剤を積極的に提案することで介入症例として書くことにも繋がる。
  • 継続サポートは、診察前の待ち時間を有効利用して面談する。
  • 面談で得た情報を診察前にカルテに記載することで、患者の内服状況や、副作用の発現状況を共有できる。処方提案も採用されやすいため、経過が良ければ介入症例として書くことにも繋がる。

以上、薬剤師外来についてでした!なんか読みにくいな~。少しずつ修正していきます!

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